筑波大学
システム情報工学研究科
平成16年度 ファカルティ・セミナー
(Faculty Seminar)
日 時 : 2004年9月30日(木) 15:00−16:00
場 所 : 第三学群C棟 3C 201
講演者 : 室井 芳史 [ 東京大学大学院経済学研究科 ]
(COEプロジェクト特別研究員)
司会者 : 焼田 党
演 題 : 社債オプションの評価法について
< abstract >
近年、信用リスクの計測への関心が高まる中で信用派生商品の評価法に関する研究が数多くなされてきた。今回の発表では社債オプションに関するレビューを基礎にその発展的内容を盛り込んだ形にしたいと考えている。社債オプションの価格つけ問題はその重要性にもかかわらず過去に余り研究されてこなかった問題であり、ヨーロッパ型オプションの解析のみならずアメリカ型オプションの解析等も考える事が出来る。そこで、既存の金融工学の派生商品の評価法を用いた場合にどのように社債オプションの価格計算が出来るのかを中心に考察を行ないたいと思う。特に、偏微分方程式アプローチ、変数変換アプローチ、三項分岐木によるヨーロッパ型社債オプションの評価の方法について解説する。このうち、偏微分方程式アプローチによる評価法では最終的に差分解法で計算しないと価格が求まらないことや、変数変換アプローチでは原資産がゼロリカバリー債である等の仮定がなければ価格の計算が出来ないことが分かっている。このような上記の方法の限界点を理解した上でその代替法としての小分散漸近展開を用いた社債オプションの評価法についてや、アメリカ型社債オプションの評価についても簡単にふれてみたいと思う。更に三項分岐木アプローチによる数値計算の結果に関する考察も行ないたいと考えている。