制度と政策のデザイン
自明なことの自然な連なりが証明

すべての馬は同じ色
「すべての馬は同じ色をしている」という命題を次のように数学的帰納法によって証明した。この証明のどこに誤りがあるかを指摘せよ。
馬の数を n をする。n=1 のときは、馬は一頭しかいない。よって、すべての馬は同じ色をしているという命題は正しい。次に馬の数が n のときに命題が正しいと仮定し、(n+1) 頭のときも命題が正しいことを次のように示す。(n+1) 頭の馬を整列させる。前から数えて n 頭目までの馬に着目すると、帰納法の仮定によりすべて同じ色である。一方、後ろから数えて n 頭目までの馬に着目すると、同じく帰納法の仮定によりすべて同じ色をしている。すると、前から2頭目から始まって、後ろから2頭目までの馬はどちらのグループにも属しているから同じ色でなければならない。よって、1頭目から (n+1) 頭目まで全ての馬が同色でなければならない。よって、馬が (n+1) 頭のときも命題は正しい。よって、すべての自然数 n について命題は正しく、すべての馬は同じ色をしていることになる。
deja vu
円周率

価値はありませんが、まあせっかく書いたので
Clustering Polytope

チャールストン
あ〜〜〜。
無限かゼロか
木村俊一『無限のスーパーレッスン』講談社 ISBN
978-4-06-214108-6
の最後のあたりに「無限か0か」と題した節が有り、次のようなことが書かれていました。考えてごらんなさい。
キャンディー好きのアリスが庭で遊んでいると手品師がやってきて、「キャンディーが欲しければこれをどうぞ」とハンカチを一振りして1番から10番の番号の付いたキャンディーをくれました。アリスはお礼を言って、1番のキャンディーを食べました。「10個ではすぐになくなりそうだからあと10個あげましょう」と、手品師は続いて11番から20番までの番号の付いたキャンディーを出してくれました。アリスはまたお礼を言って、2番のキャンディーを食べます。次には、手品師が21番から30番のキャンディーを出し、アリスが3番のキャンディーを食べる・・・・・。2人がこれを無限に続けるとキャンディーはいくつ残ることになるのでしょう?
数学の本
E.ハイラー、G.ヴァンナー著、蟹江幸博訳「解析教程(上、下)」シュプリンガー・ジャパン
の頁をわくわくわくわくしながら繰っています。楽しいなあ。
ランダムグラフの最大クラスターの成長過程
1万個のボタンが(中略)ばらまかれているところを想像してみよう。ランダムに2つのボタンを選んで、それらを糸でつなぐ。今度は、このペアを下に置き、さらに2つのボタンをランダムに選ぶ。そして、それを取り上げて糸でつなぐ。これを続けるのである。(中略)しばらくして、ボタンはより大きなかたまり、つまりクラスターへと相互に連結されるようになる。(中略)ランダムグラフの重要な特徴は、糸とボタンの比を調節していったとき、非常に規則的は統計的振るまいを見せることである。とくに、糸とボタンの比が0.5を超えると、相転移が生ずる。この点において、「巨大なクラスター」が突然形成されるのである。
著者の言う比の値 0.5 はちょっと小さ過ぎるのではないかと思いましたので、Javaの練習のつもりでプログラムを書いてN=5000で走らせた結果が下のグラフです。横軸が糸の本数、縦軸が最大のクラスターのサイズです。2785回糸で結んだあたりで最大サイズのクラスターが倍増する様子が見え、小さな飛躍がありますが、その後は結構なだらかな増加であるように見えます。10000本の糸を使ったのですが、最大サイズは5000まで行きませんでした。つまり、全部のボタンがが繋がった状態には届かなかったということです。
これについて、同僚の八森先生からb Bela Bollobas の The evolution of random graphs という論文(Transactions of the American Mathematical Society, Vol. 286, No. 1. (Nov., 1984), pp. 257-274. )を教えてもらいました。

計算機科学での出前授業に対するコメントに応えて
BalinskiとLarakiの論文
最短経路の本
4色問題
四色定理(ししょくていり/よんしょくていり)とは、いかなる地図も、隣接する領域が異なる色になるように塗るには4色あれば十分だという定理である。但し飛び地のような領域は考えない。実際の行政区分で飛び地があったとしても飛び地とその飛び地の所属する本国は関連せず、別の色であってもよいとする。解決前は四色問題と呼ばれており、未解決の期間が長かったため現在でも四色問題と呼ばれることがある。
(中略)
1879年、アルフレッド・ブレイ・ケンプによる証明が『アメリカ数学ジャーナル』誌上で発表された。この証明は妥当と見なされていたが、1890年になってパーシー・ヘイウッドにより不備が指摘された。しかし、ケンプの証明で使われた論理に沿って、地図を塗り分けるには5色で十分であることが証明された。そして、この問題は、グラフ理論における最も有名な未解決問題となったのであるが、1976年に ケネス・アッペル (Kenneth Appel) とウルフガング・ハーケン (Wolfgang Haken) によってコンピュータを駆使して証明された。しかし、あまりに複雑なプログラムのため他人による検証が困難であることや、コンピュータの誤りの可能性を考慮して、この証明に疑問視する声があった。その後、プログラムの改良が進められており、現在、四色問題の解決を否定する専門家はいない。
沢山のquantifierを含んだ命題の否定の補足
数列を a(1), a(2), a(3), ..., a(n), ... で表しましょう。本当は a の右下に小さく 1, 2 とか n とか書きたいのですが、面倒なので、ここではこの表記を使います。この数列が α に収束することは以下のように定義されます。
「任意の正の
ε
に対して、自然数
N が存在して、
N 以上の任意の n
に対して |a(n) - α|
< ε となる」
ここで、「任意の」という数学方言は「何でもいいよ、どんなに大きくても、どんなに小さくてもいいよ、あなたの意のままに任せるよ」ということです。
この定義は、大きく見ると
「任意の正の
ε
に対して、何かがが成り立つ」
という形をしています。ですから、その否定は
「ある正の ε
が存在して、その
ε
に対してはその何かが成り立たない」
です。「その何か」は
「自然数 N
が存在して、N
以上の任意の n
に対して |a(n) - α|
< ε となる」
ですが、これも大きく見ると
「ある性質を持った自然数
N が存在する」
と言っています。ですから「その何かが成り立たない」は
「ある性質を持った自然数
N
が存在しない」
です。あるいは同じことですが、
「任意に自然数
N
を持ってきても、そのある性質が成り立たない」
です。ですから、ここまでで定義の否定は
「ある正の ε
が存在して、その
ε
に対してはその何かが成り立たない」
=「ある正の
ε
が存在して、その
ε
に対しては、任意に自然数
N
を持ってきても、そのある性質が成り立たない」
となります。最後の「そのある性質」とは
「N
以上の任意の n
に対して |a(n) - α|
< ε となる」
ですから、「そのある性質が成り立たない」は
「N 以上の n で |a(n) -
α| < ε
とならないものが存在する」
となります。以上をまとめると定義の否定は
「ある正の ε
が存在して、その
ε
に対してはその何かが成り立たない」
=「ある正の
ε
が存在して、その
ε
に対しては、任意に自然数
N
を持ってきても、そのある性質が成り立たない」
=「ある正の
ε
が存在して、その
ε
に対しては、任意に自然数
N
を持ってきても、
N 以上の n で |a(n) -
α| < ε
とならないものが存在する」
=「ある正の
ε
が存在して、その
ε
に対しては、任意に自然数
N を持ってきて
も、N 以上の n で
|a(n) - α| ≧ ε
となるものが存在する」
となります。
否定される前の命題と比べると、「任意」が「存在」に代わり、「存在」が「任意」に代わっているのに気付くと思います。
証明の完成
早速、証明の続きです。
p(n)
< s < r
なる整数
s で r
を割り切るものがあったと仮定します。そのような整数の中で最小のものを
t
としました。まず
p(n)
< t
より、t
は最大の素数よりまだ大きな整数ですから、素数ではありません。ですから定義より、t
を割りきる2つの整数、たとえば
u と v
としましょう、が存在して、そのいずれも
1 でも t
でもありません。u
も v も t
より小さい整数になります。しかも、t
が r
を割り切っていることから、
u も v も r
を割り切ります。ここの所大丈夫ですか。ところが、2,
3, 4,..., p(n) の中には r
を割り切るものがありませんでしたから、u
も v も p(n)
より大きいことになります。まとめると、
p(n)
< u, v < t かつ u, v
は r を割り切る
となりますが、これは、t
の選び方に矛盾します。どうしてかというと、t
は上記の性質を持つ整数で最も小さなものだったはずなのに、その同じ性質を持つさらに小さな整数が(2つも)出てきてしまったからです。
結局、これで r
は素数であることが示せました。
証終
証明のヒント
r
= (p(n)) x (p(n)-1) x (p(n)-2)
x・・・x (2) x (1) + 1
を考えました。これが
p(n)
以下の正の整数では割り切れないことを見ました。次に、どんな正の整数でも割り切れないことを示すためには
p(n)+1, p(n)+2,..., r-1
のどれでも割り切れないことを示せば十分です。この部分の証明に再び背理法を用います。つまり、
p(n)
< s < r
なる整数
s で r
を割り切るものがあったと仮定します。そのような整数はあっても
r - p(n) - 1
個以下ですから、有限個です。ですから、そのような整数の中には最小のものが存在します。それを
t
としましょう。さて、この
t
についてどんなことが言えるでしょうか。続きは年が明けてから。では、よいお正月を。
素数が無限個あることの証明
p(1)=2,
p(2)=3, p(3)=5,..., p(n-1), p(n)
とします。林君の話では
q
= p(1) x p(2) x p(3) x・・・x
p(n-1) x p(n) + 1
として、q
が p(1), p(2), p(3), p(n-1), p(n)
のどれよりも大きいこと、さらに
p(1), p(2), p(3), p(n-1), p(n)
のどれでも割り切れないことを示していました。最後の事実より
q
は素数であると結論づけていたのですが、この部分に小さな飛躍があると指摘しました。なぜなら、素数とは1と自分自身以外のどんな整数によっても割り切れない整数であって、自分自身以外の素数で割り切れない整数ではないからです。
そこで、q
を少し変更して次の
r
を考えましょう。
r
= (p(n)) x (p(n)-1) x (p(n)-2)
x・・・x (2) x (1) + 1
つまり p(n) 以下の全ての整数の積に1を加えたものです。明らかに r は p(n) より大きい整数で、それに、2, 3, 4, ..., p(n)-1, p(n) のいずれでも割り切れません。でも、この数 r はずいぶん大きいので、ひょっとして p(n) よりも大きな整数で割り切れるのではないでしょうか・・・? あとは自分で。



