8.ライフラインの復旧
●A Flood of Anxious Phone Calls Clog Lines, and TV Channels Go Off the Air(9月12日NYTimes)
テロ事件の直後、午前中のうちは、北東部の各州において、電話による通信が著しく困難であったが、この日遅くには、ほとんどの電話がつながるようになった。主要通信会社は、これは物理的な損傷が原因ではなく、ネットワークの混雑によるものだと述べている。この地域の通話会社最大手のベライゾン社によれば、正確な数字は分からないが、11日の通話数は、平日の平均通話数(1億1,500万件)の約2倍であったと推測する。長距離電話最大手のAT&T社は、全国レベルで、長距離電話の通話数は午前中に通常の2倍となり、午後半ばには、通常の30%増に落ち着いたとしている。
携帯電話の通話は、ネットワークの容量が通常の電話よりも小さいために、通話混雑による影響をより大きく受けたとされている。一方影響が少なかったのは、携帯電話のテキスト通話(ショートメール)機能で、その理由は通話による利用容量が小さいことによる。
通信施設の物理的損傷は、ワールドトレードセンター周辺の局地的なものにとどまっている。しかし、長距離電話3番手のスプリント社は、ワールドトレードセンター地下のネットワーク中継施設が破壊されたため、ほとんどの通話の迂回ルートを確保するまでの間、何千という通話が不通になってしまった。
ワールドトレードセンタータワーに中継アンテナを持っていた多くのラジオ局、テレビ局のうち、いくつかは、エンパイアステートビルを経由するバックアップシステムに切り替えることができた。しかし多くのテレビ局(ABC、NBC、FOXと提携するローカル局を含む)は電波を届けることができなくなってしまった。ケーブルテレビの契約者はこれらのテレビ局からの信号を受信できたが、地上アンテナを用いている地域の世帯のおよそ30%で、これらのテレビ局の放送を受信できなかったと推定されている。主要テレビ局ではCBSのローカル局だけが、エンパイアステートビルへの切り替えにより、通常どおりの放送を行うことができた。
●As an Attack Unfolds, a Struggle to Provide Vivid Images to Homes(9月12日NYTimes)
テレビ放送ネットワークと多くのケーブルチャンネルでは、ニュース番組、娯楽番組を問わず、通常のスケジュールを破り捨てた。24の新聞社が号外を出し、ウェブサイトは広告を投げ出し、時には、処理能力を超えてアクセスが集中しているサーバーでもニュースのニーズに応えられるよう、テキストと静止画像だけを用いてニュースが提供された。
昼12時までに、主要4大ネットワークはビデオ映像の共有に合意。午後半ばまでに、TBSやTNTなど、AOL Time Warner系のほとんどすべてのケーブルチャンネルはCNNを流していた。ViacomのCBS Newsは、Viacomのmusic channels、VH1、MTVで放送され、Peter JenningsのABC NewsはDisneyのESPN channelとすべてのABCラジオ局で放送された。普段は激しく競い合っている各放送局とCNNのニュース部門の間でビデオ映像を共有することについて、Fox News社社長のRoger Ailesは「すべてのネットワークが、これは国家の非常事態だと判断した結果だ。今日は損得勘定をしない。」と述べた。またコマーシャルを提供する多くの商業広告スポンサーも同様にこの日は損得勘定をするのをやめた。
WABCとWNBCの電波を送るアンテナがタワーの崩壊とともに破壊されたため、ラジオ局の放送は通常よりも大きな役割を与えられた。ニューヨーク市民のうちケーブルテレビに接続されていない約30〜35%は、エンパイアステートビルにアンテナを持つWCBSのテレビ放送しか見ることができなかったからである。
●Con Ed Splices Power to the District's Core(9月16日NYTimes)
第7ワールドトレードセンターの崩壊により、ロウアーマンハッタンのほとんどの地域に電気を供給していた2箇所のコン・エディソンの変電所が潰れた。その地域一帯の何千人もの顧客が電気の供給を受けられない状態である。ニューヨーク証券取引所などの大規模な顧客はそれぞれに一時的な電力システムを持っている。コン・エディソンは、いつごろ電力が再供給できるかに対して見込みを避けている。現在、850名の作業員を派遣し、20マイル(32キロ)のケーブルを敷設して一時的システムの復旧作業に取り組んでいる。通常、一時的システムを敷設する場合、ワールドトレードセンター地域の端を取り囲む様にして地上にケーブル線を敷くのであるが、ワールドトレードセンターの2ブロック北にあるMurray Streetにケーブルを敷くとなると、あまりに多くの重機材がその上を通るため、地上にケーブル線を出すことができないのである。その代わりに、浅い溝を掘らなければならない。穴掘りの作業員は18時間も遅れて現場に到着してくるという次第であった。また、ワールドファイナンシャルセンターの後ろにある港に沿って消防隊員がハドソン川からWest Streetへとホースを走らせているため、そのホースを避けて作業をしなければならないのと、バッテリーパークシティのAlbany Streetには巨大なクレーンが道を塞いでいるためにシステムを設置することができないのである。作業状況は困難を極めている。
●City to Create Commission to Oversee(9月17日NYTimes)
コン・エディソンは1,900名の作業員をダウンタウンに派遣。20マイル(32km)の予備の電気ケーブルを配置し緊急の発電機を設置した。9月16日現在、未だ7,927名の顧客が電気なしの生活を余儀なくされている。電話のサービスを受けられない顧客は何名に上るかわからないとベライゾンは報告した。
●Chirac, on Visit to New York, Praises Giuliani and the city(9月19日NYTimes)
北をBarclay St.、東をBroadway、西をWest St.、そして南をマンハッタン南端によって区切った地域、1,800の顧客へのサービスを復旧したとCon Edisonは発表した。18日火曜日には同社はバッテリーパークシティのサービス復旧作業を開始した。
●An Unimaginable Emergency Put Communications to the Test(9月20日NYTimes)
現在までの通信網の回復状況は悪くない。幾つかの電話会社が臨時の携帯電話の通信塔を運び入れ、緊急事態の番号911(日本の110,119)のサービスには問題がなく、NY住民が外へ掛ける為の長距離電話サービスにも異常はない。事件後、Verizonでは緊急用の電話に支障をきたさない様動いた。2,400の予備のラインを市行政機関に、900本を州政府に、2,600本以上を連邦政府や軍にまわした。電話線の復旧作業にあたっては、Verizonではまず破壊現場の状況に対応しなければならなかった。140 West St.にあるCentral Switching Officeでは、ワールドトレードセンター第7ビルの崩壊により5階分の瓦礫がビルの方に雪崩れ込み、また北側のタワーの鉄材も降りかかかり、地下では水道管の破裂による浸水などによって予備の発電機が使用不可能になった。この影響により175,000名が電話を使えない状態になった。ロウアーマンハッタンで企業に使用されていた350万本のケーブルにも被害があった。インターネットプロバイダーのEarthlinkでは14日金曜まで7,000名の顧客へのサービスが行えなかった。停電により、AT&TではWorld Financial Centerにある電話交換機を作動することができなかったVerizonとAT&Tではワールドトレードセンターの地下に光ファイバーケーブルで情報を送信する為の精巧な機材があると言っている。作業中の事故については、2人の技術者を含め6人のVerizon作業員がワールドトレードセンター倒壊により亡くなっている。
●Subway by Trade Center to Take Years to Rebuild(9月28日NYTimes)
NYC Transitの職員は、ロウアーマンハッタンの地下鉄1号線及び9号線のトンネル及び駅に関する被害は甚大であり、1マイル以上にわたり完全に再建設する必要がある事を明らかにした。彼らは、この地下鉄の再建設に関する費用が、連邦から市に対して提供される200億ドルの中から支出されることを期待している。しかしその費用の見込みについては、過小な見込み額を発表した場合のデメリットを考慮し、明言を避けた。
●Phone Providers Near Ground Zero Are Scrambling to Catch Up(10月8日NYTimes)
ワールドトレードセンターの倒壊を受けて壊滅状態となったVerizonの通信ネットワークは、West Streetにあった32階建てのビルの地下にある中継基地が浸水した。
Verizonは当日、市庁舎と1 Police Plazaを最重要課題とし、電話線をひき始めたが、翌日にはPolice Plazaはあまり機能していなかった。
FBIはVerizonから、中継基地が浸水し、ロウアーマンハッタンの電話が使えなくなるとの報告を受けて、オフィスをWest Side Highwayのガレージへと移した。水曜午後までに、FEMAはFBIとCIAの通信を、軍事衛星を使ってつなげた。
木曜日、VerizonはPier92におかれた市の緊急指令センター(ECC)へ350回線と25の高速インターネット通信回線をつなげた。その週の終わりまでに、18,000の緊急回線が市内にひかれた。
株式市場は回線の20%とデータコネクションの半分を失っていた。15日土曜日に株式市場は再開の準備ができたと発表された時点で、電話回線の準備はまるでできていなかったとVerizonは話す。取引量をまかなえるだけの電話回線が準備できたのは、財務長官O'Neill氏が取引再開の鐘を鳴らす2時間前だった。
●Battered by Sept.11, Chinatown Economy Remains Crippled(11月21日NYTimes)
テロ事件から2ヶ月あまり経過した現在も、チャイナタウンの多くの人々(ビジネス団体を含む)は電話サービスの復旧を待っている。電話回線が使用できないために、まだ復旧作業が終わってない地域でビジネスをしている経営者の中には、クレジットカードが使用できないために顧客が大幅に減少し経営状態の悪化に苦しんでいる。
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