半順序集合(ポセット)

半順序集合(ポセット)とは

半順序集合とは、集合の元のいくつかのペアの間に次の3つの条件を満たす 2項関係"≦"が定義されているもののこと。 これは数字の大小関係のようなものを一般化したものなので、"≦"は 大きい小さいという意味と思ってもよい。 半順序集合は英語ではpartially ordered setという用語で、初めの2単語の 頭の文字をとってposet(ポセット)とも呼ばれている。

例えば自然数の集合に「xとyを比べてyの方が大きい時にx≦y」という規則で 関係≦を定義すると上の定義をみたす。この場合は任意の2元の間に関係が定義 される。こういうものは「全順序」という。

全順序でない半順序の例としては、例えば整数を2つずつ組にしたもの (x1, x2)全体の集合を考え、2つの組 (x1, x2)と(y1, y2) の間に、「y1がx1より大きくてy2が x2より大きかったら (x1, x2)≦(x1, x2)」 というように定義すると上の3つの条件を満たすので半順序集合になるが、 例えば(3,4)と(4,2)の間には関係が定義されないことになる。

ハッセ図

ポセットを表すのにハッセ図という記法がある。どういうものかというと、 順序関係は推移律によって「x≦y」と「y≦z」から自動的に「x≦z」が成り立つ ことが分かるので、すべての関係を推移律を使って計算できるような最小セット を与えておく、というようなものである。 例えば{a,b,c,d,e}という5元からなるポセットで
a≦b, a≦c, a≦d, a≦e, b≦d, c≦d, c≦e
というように関係が定義されているとすると、実はこのポセットは
a≦b, a≦c, b≦d, c≦d, c≦e
だけで記述できる。例えば「a≦e」は「a≦c, c≦e」から分かるので必要ない。

ここで「必要最小限の関係のセット」というのはx≦yであるが x≦z≦yとなる(x,y以外の)zが存在しないようなもの全体であることは簡単に分かる。 このようなzの存在しないx,yの関係はカバーの関係という。xはyにカバーされていて、 yはxをカバーしている、というようにいう。

この必要最小限の関係のセットを絵で表したのが下の絵で、このような 記法をハッセ図という。

この絵の中で線の引いてあるところには関係があって、bがaの上側にある ときにはa≦bであることを示している。従って、推移律を使うと、二つの 元の間に常に上に向かうような線をたどって道を結ぶことが出来る時に 順序関係が定義されている、というように読むことができる。 (ある種の)組合せ論では有限なもののみを扱うので、ポセットも有限個しか 元がないものを考えることが多い。以下、ここでも有限のものしか考えない ことにする。

x≦yでx≠yのとき、x<yと書くことにする。

ポセットの中でx1<x2<…<xt のような列を鎖という。(「さ」と読むらしい。)
各xiがxi-1をカバーしているとき、 この鎖は飽和しているという。飽和した鎖のことを極大鎖ともいう。

この絵(ハッセ図)では、x≦y≦zは鎖の一つであるが、飽和してはいない。 x≦w≦y≦v≦zととると飽和している。

boundedポセット

ポセットにおいてどの元xに対してもa≦xであるような元aを最小元といい、 0(本当は\hat{0}と書きたいけど記号がない…)と書く。逆にどのxに対して もx≦bであるような元bを最大元といい、1(\hat{1})と書く。 0と1が両方存在するようなポセットはboundedであるという。 boundedでないときには最小元、最大元をつけてしまえばboundedになる。

ポセットの区間

ポセットの中の2元x<yに対して、[x,y]={z|x≦y≦z}を区間という。


参考文献: など。
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