単体的複体とは?

「複体の組合せ論」において対象とされるオブジェクトは 単体的複体(simplicial complex)と呼ばれるものである。 これは、大まかに言うと、いくつかの 単体(三角形、四面体のようなもの)をその面同士をのりで 張り付けて作ったようなもののことである。定義は次のように なっている。

定義
単体的複体とは、あるユークリッド空間En中の 有限個の単体の集合で、
  • sがCの要素であればsの面はすべてCの要素である。
    (空集合は-1次元の面と考えるので、Cに含まれる。)
  • s,tがCの要素であれば、sとtの共通部分はsの面であり、 かつtの面でもある。
  • を満たすようなもののこと。

    単体的複体とそうでないものの例

    これはトポロジーではよく出てくる概念である。組合せ論でおなじみの 「グラフ」は1次元の単体(辺)と0次元の単体(点)、および-1次元の単体 (空集合)からなる複体である。

    単体的複体は、「各単体=その頂点の集合」とみなして頂点集合の 部分集合族(またはハイパーグラフ)と考えることも出来る。 このように扱う時は、特に、「抽象的単体的複体」(abstract simplicial complex) ともいう。 この場合、単体的複体の定義はheredityを持つ部分集合族として定義される。 つまり、

    有限集合Vの部分集合族Cで、sがCの要素であれば、sのすべての部分集合 もまたCの要素であるようなものを抽象的単体的複体と言う。

    というようになる。この場合、もとの単体的複体の定義より、ユークリッド 空間への埋め込みに関して情報が落ちているようであるが、どんな 抽象的複体も(2×(単体の最高次元)+1)次元のユークリッド空間に埋め込むことが可能 なので、実は等価な定義になってる。

    多面体的複体とセル複体

    もう少し一般化された概念に、多面体的複体(polytopal complex, または polyhedral complex ともいう)というものがある。これは上の「単体」を「多面体」で置き換えた ものである。つまり、

    定義
    多面体的複体とは、あるユークリッド空間En中の 有限個の多面体の集合で、
  • sがCの要素であればsの面はすべてCの要素である。
    (空集合は-1次元の面と考えるので、Cに含まれる。)
  • s,tがCの要素であれば、sとtの共通部分はsの面であり、 かつtの面でもある。
  • を満たすようなもののこと。
    である。

    多面体的複体の例
    単体的複体や多面体的複体のさらなる一般化で、それらについての議論を 崩さない中での最も一般化された概念はregular CW complex (または regular cell complexとよばれる)であると考えられている。この定義は、

    定義
    CW complexとは
  • K0は点の集合。
  • KiはKi-1にいくつかのi次元球体(i次元セル)を その境界からKi-1への連続写像によって張り付けたもの として与える。 このセルの境界はKi-1の部分複体になっているようにする。
  • KをK0からKdまでのユニオンとして定義する。
  • というようなもののことで、regular CW complexとは、この CW complexに普通にトポロジーを入れた時に(複体はハウスドルフ空間中に 定義し、各セルとの交わりが閉な部分集合を閉であるとする)任意のセルの 閉包がEn中の球体と同相になっているようなものを言う。

    Regular CW complexの例

    面の名前

    単体的複体(または多面体的複体、セル複体) の要素は通常「面」と呼ばれるが、それらは次元によって 特殊な用語がついていることがある。これらは大抵、多面体についての 用語から流用した(と思う)ものである。 ファセットの次元の最大のものをその複体の次元として定義する。
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