組合せ数学セミナー
発表内容の概要


5/25(金):八森正泰 (筑波大学システム情報系)
直径2のグラフ上のボロノイゲーム

次のようなグラフ上のn人非協力ゲームを考える.
・各プレイヤーはグラフの頂点の1つを選択する.
・各頂点には顧客がおり,それぞれグラフ上の距離で最も近いプレイ
  ヤーが獲得する.(複数のプレイヤーが等距離にある際には折半する.)
・獲得した顧客数をプレイヤーの利得とする.
このようなゲームにおいて,純粋戦略ナッシュ均衡が存在するかど
うかを考える.このゲームに対して,2人ゲームの場合でも純粋戦略
ナッシュ均衡が存在しないことがあることが知られている(D\"urr and
Tang 2007)が,今回は,このゲームにおいて,グラフの直径が2以下で
あれば常に純粋戦略ナッシュ均衡が存在することを示す.
(付記:「プレイヤー数2の場合に」の条件を追加。)

本研究は筑波大学の繁野麻衣子氏・竹原令依子氏との共同研究です.

6/8(金): 舘 知宏 (東京大学大学院総合文化研究科広域システム科学系)
工学デザインのためのコンピュテーショナル・オリガミ

折紙は一枚の紙を切り貼りせず,折るだけで形を作る伝統的な遊び・芸術として
知られているが,コンピュテーショナル・オリガミという折紙の幾何学とアルゴ
リズムの研究分野が近年発展している。
  また,折紙は一枚のシート材料からの立体形状の成型や,可動屋根や仮設シェ
ルター,宇宙における展開構造物などへと応用可能であり,「折紙工学」として
着目されている。
  本発表では,折紙を工学デザインに生かすためのコンピュテーショナルな手法
と,形状探索のためのインタラクティブなデザインシステムについて,デモンス
トレーションを中心に概説する。

6/22(金): 沼田 泰英 (東京大学大学院情報理工学系研究科/JST CREST)
Matroidから決まるある0次元Gorenstein環について

マトロイドの基の情報から決まる0次元Gorenstein環について考える.
この環を用いることで,
有限体上の有限次元線形空間の部分空間束の Sperner性
についての環論的証明を与られる事等を紹介する.
本講演は前野俊昭氏(名城大学)との共同研究に基づく.

7/6(金) 柴田 和樹 (立教大学大学院理学研究科数学専攻)
Smooth Fano polytopes whose Ehrhart polynomial has a root with large real part

エルハート多項式とは、整凸多面体をm倍に膨らませたものの整数点の個数の
ことである。
最近では、エルハート多項式の根に関する研究が行われていて、
“任意の整凸多面体のエルハート多項式の根の実部の絶対値は
整凸多面体の次元以下である”
という予想がある。
本講演では、smooth Fano 多面体を具体的に構成し、トーリックイデアル、グ
レブナー基底と関連付けながら根の予想について見ていく。
本研究は大杉英史先生(立教大)との共同研究である。

7/27(金) 13:30〜 張 明超 (筑波大学大学院システム情報工学研究科)
C_6-飽和グラフの最小枝数

無向グラフGが長さkのサイクルC_kを含まないが,Gの任意の非隣接な2頂点間に枝を
加えるとC_kを含むとき,GをC_k-飽和グラフという.n頂点のC_k-飽和グラフの最小
枝数をsat(n,C_k)とかく.これまでに,k=3,4,5に対するsat(n, C_k)の値が分かっ
ているが,kが6以上のときは,任意のkに対しての上下限が分かっているだけである.
そこで,本発表では,k=6のときのsat(n,C_6)のよりタイトな上下限を示す.まず,
C_6-飽和グラフを構成することで,sat(n, C_6)の上限を示す.この上限は,n=9,10,11
のときにsat(n, C_6)に一致することが分かっている.次に,最小次数が2である
C_6-飽和グラフの最小枝数の下限を証明し,この下限の結果と証明方法を利用し
sat(n,C_6)の下限を導く.
本研究は筑波大学の羅松氏・繁野麻衣子先生との共同研究である.

7/27(金) 16:00〜 中村 政隆 (東京大学大学院総合文化研究科広域システム科学系)
単調拡張作用素、閉包作用素と根付きサーキット系

有限集合上の単調拡張作用素と根付きサーキット系が
1対1対応することを示す。その特別な場合である、閉包作用素、
交換律、反交換律の特徴付けを示し、そこからマトロイド、
凸幾何の特徴付けを導く。

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