筑波大学社会工学系                            

 

         平成15年度  ファカルティー・セミナー

                       (Faculty Seminar)

 

 

日 時 : 2003年10月30日(木)  16:20-17:20
場 所 : 第三学群F棟 3F 224
講演者 : 松村 良平  [ 東京工業大学大学院 社会理工学研究科 助手]
司会者 : 金子 守
演 題  :  「内発的動機づけを考慮したインセンティブシステムの設計問題について」

< abstract >
本論文の目的は、従来の経済モデルで陽的には扱われてこなかった、組織の成員の内
発的動機づけを考慮に入れた新たな経済モデルを作り、現実の組織マネジメント、特
に成員の動機づけ管理への示唆を得ようというものである。より具体的な目的は、内
発的動機づけを持った成員を想定したとき、この存在を効率よく動機づけ、良い成果
を達成させるために、どのようにインセンティブ(報酬)を与えたらよいか、そし
て、内発的動機づけの向上のためにどれだけコストをかけたらよいかという問題を分
析しようというものである。
経営組織論において、成員の動機づけ問題は、バーナードもいうように最も重要な問
題のひとつである。この問題を分析するためのツールとして、エージェンシー・モデ
ルとよばれるものが存在する[1,2]。これは、プリンシパルとよばれる経済主体が、
自らの目的にそった行動をエージェントとよばれる経済主体にとってもらう為に、ど
のように金銭的インセンティブを与えて動機づけるのが効果的か、という意思決定問
題をモデル化したものである。